台風と共に来たりて、台風と共に去って行った感のある今年のシルバーウィーク。皆さまはいかがお過ごしでしたか?
たまたま期間の前後も含めて、以前勤務していた会社のOB会やら仲間との飲み会やらで旧交を温めつつ、仕事でお世話になった方々の朗読会、孫のお食い初め、ご先祖さまのお墓参りなどで充実していたOJA-P(オジャピー)です。
そんな中、一昨日の9月21日は敬老の日でしたが、私の愛してやまないフォークデュオ「ふきのとう」のデビュー記念日でした。というわけでそんなタイミングで、ふきのとうの名曲を何回かに分けてご紹介、その魅力を語らせていただければと思います。
ふきのとうは1974年9月21日にシングル『白い冬』でデビューした、山木康世さん、細坪基佳さんからなる北海道出身のフォークデュオです。
お二人は北海学園大学フォークソング研究会の先輩後輩として出会い、ジローズの『愛とあなたのために』(大ヒットした『戦争を知らない子供たち』のシングルB面)を二人でハモってみたところ、周りも驚くほどうまくハモれたことがきっかけで活動を始めたそうです。山木さんがオリジナル曲を作っていたので、オリジナルとコピーでの音楽活動になりました。
二人組になって最初のグループ名は『メロディ』。でも、NHK札幌放送局から番組テーマソング制作の依頼を受け、グループ名を訊かれた時に山木さんがとっさに答えた名前が『ふきのとう』。素朴だけれど、なかなか素敵なネーミングですよね。結局解散まで改名せずのグループ名でした。
その後’73年にバイタリス全国フォーク音楽祭で作曲賞を受賞するなどレコード業界でも注目を集め、東京でのレコーディングの誘いを受けて上京、デビューしたのがこの『白い冬』でした。
この曲、デビュー曲ながらオリコン最高14位、18.5万枚を売り上げるヒットになり、その後の18年に及ぶグループの活動、さらにソロまで含めると今日まで52年間に渡るプロとしての音楽活動がスタートするきっかけになった曲だったのでした。
しかしプロデビューするのにあたり、レコード会社がこの『白い冬』でデビューすると決めたのは当の山木さん・細坪さんには意外な選曲でした。
二人にとってはむしろ、バイタリスのフォーク音楽祭で入賞した『夕暮れの街』など、技巧的にも自信のある曲でデビューしたかった想いがあり、『白い冬』は当時山木さんの友人だった工藤忠幸さんの詞に、即興的に曲をつけたものだったそうです。
ひとりで想う 秋はもう深く
過ぎ去れば 空しく消えた日々
もう忘れた 全てあなたの事は
秋の枯れ葉の 中に捨てた
(ふきのとう『白い冬』)
曲は全米チャート1位を獲得したニール・ヤングの『Heart of Gold』を彷彿とさせるようなリズムとコード進行ですが、歌詞は寒い冬の訪れと共に儚く終わる恋を抒情豊かな表現で歌っています。
2番は1番の歌詞の繰り返しになっていてシンプルな構成なのですが、ドラムやエレキギターの印象的なリフでイントロからドラマティックな演奏になっていて思わず心を掴まれます。山木さん自身も、それまで生ギター2本でしか演っていなかったのが、フルアレンジされたことでまったく違う曲に生まれ変わっていて驚いたと後に語っています。
ちなみにこの時のアレンジは瀬尾一三さん。当時フォークソングの多くの曲を手がけ、かぐや姫や風、長渕剛さんの楽曲や中島みゆきさん、吉田拓郎さんなどビッグネームの音楽監督しても活躍する今やJ-POP界の大御所アレンジャーです。
このキャッチーなアレンジやギターのリフ、耳に残るサビがヒットの要因として欠かせなかったのではないでしょうか。
デビュー曲を『白い冬』にすることに反対だった二人は、この曲さえ売れたら、あとは好きなようにやっていいから……と説得され、結果的に受け入れます。
そしてレコード会社の思惑通りヒットし、2枚目のシングルは自分たちの希望で選んだ『南風の頃』で勝負しますが……これがまさかの苦戦。
曲がいいことと、売れることの違いといいますか、いい曲をその評価通り売ることの難しさというのは永遠のテーマかもしれません。当時、いい意味でアマチュア精神を持っていた二人には衝撃的だったことが伺い知れます。
個人的な話になりますが、私は高校時代に友人からふきのとうを薦められました。
それまでかぐや姫や吉田拓郎さん、中島みゆきさんを主に聴いていたのですが、始めはピンと来なかったというのが正直なところでした。でもいろんな曲を聴いているうちに、歌詞に表現された心の機微や豊かな季節感の描写、細坪さんの透き通った唯一無二のヴォーカルと山木さんの6度下のハモの独特感に、すっかり魅せられてしまったのでした。
ハモに関して言いますと、大抵デュオの場合は主旋律の3度上を中心にハモることが多いのですが、6度というのはそれをオクターブ下げて、下でハモるんですね。そこに不思議な響き、安定感が出てくる。これがふきのとうの魅力のひとつでもあります。
ハマった私はその後ふきのとうの絶頂期、日比谷野外音楽堂や日本武道館のコンサートに立ち会い、解散を見届け、現在もソロのコンサートに定期的に足を運んでいます。ここまでハマったのも、曲の背景に広がる雄大な北海道の風景が、スケールはだいぶ違いますが私の生まれ育った山梨の清里高原、八ヶ岳の麓の環境と重なったからかもしれません。
話は『白い冬』に戻りますが、この曲は石川ひとみさん、坂本冬美さんらにカバーされ、またB’zの松本孝弘さんのソロアルバムでもカバーされています。日本を代表するギタリスト・松本さんがインスパイアされた曲……そう思うと少し誇らしい気持ちになってしまうのは、ファンの性というものでしょうか。
ともあれ、この『白い冬』、ふきのとうの最初にして最大のヒット曲になりました。2曲目以降、自分たちの意見を選曲に反映させてこれを超えるヒットはついに生まれなかったのです。しかし、ふきのとうはライブ・アーティストてありアルバム・アーティストでした。ヒット曲ありきではない、長いおつき合いをしたいファンに支えられてその後の活動があったことを考えると、2人の『判断』は、決して間違えていなかったのではないでしょうか。
※『ふきのとう』に興味をもたれた方にオススメなのが、こちらのライブ・アルバムです。これで私はすっかりやられてしまいました。リリース当時までのベストアルバム的な意味合いもあってお買い得です。
『ふきのとうLIVE 風をあつめて』(1980年3月21日)

そしてB’z松本孝弘さんのソロアルバム『THE HIT PARADE Ⅱ』(2024年8月28日発売)




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