#3 かぐや姫『妹』

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こんにちは。梅雨が明けて猛暑の毎日が続いていますが、時おり夕立が降り、庭の色褪せた紫陽花がしっとり濡れるのを見ながらうんうん、やっぱり富士には月見草、雨には紫陽花がよく似合うななどと独りごちているOJA-P(オジャピー)です。

初回、第2回とかぐや姫の曲を取り上げました。前回はかぐや姫の不滅のNo.1ヒット曲『神田川』だったので、今日は同じ作詞家・喜多條忠さんの手による名曲『妹』を取り上げたいと思います。

『神田川』の大ヒットにより、これもレコード会社としては当然のことながら、同じ路線で……ということで『赤ちょうちん』がリリースされ、その後この『妹』のリリースがかぐや姫解散前の最後のシングルになってしまったのは皮肉なことです。この3曲を総称して『四畳半三部作』なんて呼ばれているようです。

個人的なお話で恐縮ですが、私は男三人兄弟の真ん中で、姉も妹もいません。もし妹がいたとしたらどんな存在で、どういう風に接したものか見当がつかない、というのが率直な感想です。

この曲はイントロがなく、いきなり「妹よ」とこうせつさんが優しく呼びかけます。どうやらイントロなしのアイデアを出したのははアレンジを手がけた瀬尾一三さんだったとのこと。

「妹よ」この呼びかけで個人的に私が思い出すのは、金井直という詩人が書いた『木琴』という詩です。

妹よ 今夜は雨が降っていて お前の木琴が聞けない

こんな出だしで始まるこの詩は、戦争で亡くなった妹を偲んで作ったもので、中学の教科書に掲載されていたものを読んでとても感銘を受けた記憶があります。

ストーリーの内容こそ違いますが、この掴みの呼びかけに心をぐっと持っていかれた記憶が甦ります。

作詞にまつわるエピソードなどは、探してもわからなかったのですが、こうせつさんの妹ではないことは1974年にリリースされたライブアルバム『かぐや姫LIVE』の中で明らかにされています。『妹』を歌い終えた後のMCで「僕には妹いないんですけど」と言っていますので確かないようです。ここは『神田川』『赤ちょうちん』共にご自身の体験を詞にした喜多條さんですので、この曲もおそらく実体験に近かったのでは、と勝手に推測しております。

お嫁に行く前夜、隣の部屋で妹がたてている寝息を聴きながら、妹を喪う寂しさと幸せを願う複雑な想いが去来して、妹がいない私でもこみあげて来るものがあるのに……実際に妹がいる方はいかばかりかとお察しいたしました。

個人的には、そんな思いを気取られないように

あの味噌汁の作り方を書いてゆけ
(『妹』より)
と茶化す兄のお茶目ぶりが好きです。でも、寝ている妹を起こして言った訳ではないと思うので、本当に味噌汁の作り方を訊かないと困ると思ったのかも……。

かぐや姫の曲の中でも人気が高く、コンサートでも歌い始めると拍手が沸き起こるこの「妹」。ただ、三部作のいずれも情に訴える曲を連発するレコード会社の方針や、映画化に対する考えの温度差など、
メンバーの不満が限界に達して解散のきっかけになってしまったのはあまりに皮肉な結果といえるでしょう。

最後の、

そして どうしても どうしても どうしても駄目だったら 帰っておいで 妹よ
(『妹』より)

の部分、「どうしても」の畳みかけは、レコーディングの時にこの四番だけ文字数が足りないことに気づいたこうせつさんが、苦肉の策で連呼したのだとか。
そしてこの繰り返しが聴く人の心の琴線に響きまくった、というのもまた偶然のいたずらが成せる業だったのでしょうか。

最後にまたまた個人的な話で恐縮ですが、私の次女に先日娘が誕生しました。通算2人目の子どもで、最初は男の子なので彼には『妹』ができたわけです。数十年後、この曲のような心境になる日が来るのかどうか、少し楽しみではあります。果たしてそれまでこの世に留まっていられるでしょうか。

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