#8 落語とフォークのコラボ?〜さだまさし『雨やどり』〜

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こんにちは。昨日のゲリラ豪雨の名残か、玄関先に鎮座したかたつむりと、妻が出勤した後の駐車スペースになぜかひっそり咲いた一輪の朝顔に心和んだOJA-P(オジャピー)です。

ここのところブログではさだまさしさんの楽曲を紹介していますが、先日(2026年8月23日)甲府のYCC県民文化ホールにさださんのコンサートを観に行ってきました。

さださんが来甲するのは4年ぶりとのこと(先月の浜田省吾さんは20年ぶりだったので、それに比べたらまだ最近かも)で、4年前も参加したのですが、さださんむしろ若返っているんじゃないかというお元気さと声のハリ。

今回も、これだけで稼げるクオリティの軽妙な面白トーク、今年の5月にリリースされたばかりのニューアルバム『神さまのいうとおり』に収録された新曲の数々を披露、また往年の名曲からは『防人の詩』『北の国から〜遥かなる大地より〜』『修二会』などが歌われました。

そして今回興味深かったのは、ワンフレーズごとに弾き語りながら歌詩の意味や登場人物の行動、シチュエーションの意図などを解説するコーナー。何しろ詩を書いた本人が、まるで他人が書いたかのように冷静に分析するのですからこれは面白い。
そして、当ブログの構成とも共通点があるようで何だか嬉しくなったのでした。

取り上げていた曲は、今回のツアータイトルにもある『神さまのいうとおり』に関連づけて、神さまが登場する『雨やどり』。
前回のブログで、さださんがソロになって最初のシングルと誤解されるほどヒットした……とご紹介した曲です。

そこで今回はこの『雨やどり』を取り上げたいと思います。

皆さんは中島潔さんという画家・イラストレーターをご存じでしょうか?昔、NHKみんなのうたなどでイラストを見かけたことがある、ちょっとトボけた表情の子どもたちが印象的な、和風の墨絵のようなどこか懐かしいタッチの絵を描く方です。
この方の作品に『雨宿り』というのがあり、これを見かけて気に入ったさださんが初めて買った絵であり、また中島さんにしても初めて売れた絵なのだそうです。そしてこの作品にインスパイアされて誕生したのがこの『雨やどり』だったんですね。

ストーリーは9月の木曜日、たまたま雨やどりしてきた青年に主人公の女性がハンカチを貸してあげたところ、翌年の初詣に晴れ着の裾を踏まれ謝ってきたのが偶然にも同じ青年。そんな都合のいい話はないから連れてきてみろという家族のリクエストに応え、会わせてみれば好印象。それに気を良くした青年にプロポーズされ、突然のことに気を失って、目が覚めたら貴方の腕に雨やどり……というハッピーエンド、現代風おとぎばなしのような展開の歌です。

グレープ時代のさださんの不満は、なぜか暗い曲が売れる、というもの。中には『朝刊』という、ドジな奥さんのドジなエピソードをコミカルに描いた曲をシングルカットしたんですが、セールス的にはもうひとつだったようで、コミカルな曲で勝負したいという思いもあったようですね。

この曲が生まれて早速コンサートで披露してみたところ、予想を遥かに超えてドッカンドッカンウケたそうで、まさしこれはシングルカットだ!ということでレコーディングする間もなく、コンサートで収録したものをそのままシングルカットするという乱暴……いや、斬新な手法も奏功してめでたくヒットとなったようです。
スケジュールの問題もあったのかもしれませんが、お客さんの笑い声込みで聴いた方が可笑しみも一層際立つ、そんな計算もさださんのことなのできっとあったに違いありません。

先日のコンサートでの解説では「なぜ初めて会ったのが木曜日だったのか」「なぜ貸したのはスヌーピーのハンカチだったのか」などご自身で疑問を呈しながらそれに答えるスタイル。トークも秀逸で、気づけば雨やどりワールドにどっぷり浸かってしまっていました。

ご本人曰く、数多くの友人落語家さんたちが口を揃えて「この曲は落語ですね」と言うそうですが、落研で腕を磨いたさださんのことですから、最初から落語噺を一席作る気持ちで生み出したと睨んでいます。

そしてさらに面白いことに、サービス精神旺盛のさださんは同じモチーフ、同じ曲で歌詞からユーモア要素を消し去り、ピュアな恋愛ストーリーに昇華させたシリアスバージョンとして『もうひとつの雨やどり(1977年・シングル『吸殻の風景』B面)』、逆にユーモアを推し進めてギャグにアレンジした『雨どりや(1979年・ライブアルバム「随想録」所収)』などのバリエーションも発表、その遊び心はもはや唸るしかありません。

さださん初のオリコン1位を獲得したこの曲は後にプロのアーティストになる方々にも大きな影響を与えました。後に『待つわ』が大ヒットする岡村孝子さんはこの曲を聴いてシンガーソングライターになる!と決意し、尾崎豊さんもさださんが好きで、中学生時代のコンサートでカバーした音源が残っています。

まだ残暑厳しい8月のとある日曜日の雨の中、ご本人の生歌で再会できた名曲でした。

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