あっという間に9月も終わりに近づいてきました。台風や長雨の被害で慌てたり困ったりしているうちに通り過ぎてしまい、ゆっくり9月を噛み締められなかったな……そんな気持ちのOJA-P(オジャピー)です。
前回から私のプレミアムなお気に入りフォークデュオ「ふきのとう」を特集していますが、オフコースファンとしては「9月」と聞くと、
あゝ はやく 九月になれば
(オフコース『I LOVE YOU』)
やはりこの曲が、反射的に頭をよぎってしまいますよね。
これがふきのとうファンになりますと、
もうあなたは冗談も言わず 九月のことにかかりきりみたいで
夜の街は 淋しすぎて
その上 冷たすぎて
(ふきのとう『やさしさとして想い出として』)
というこの曲が、真っ先に頭に浮かんできてしまいます。
この『やさしさとして想い出として』は、初出は1976年7月に発売された3枚目のアルバム『風待茶房』のA面1曲目に収録され、その4年後の’80年1月に遅ればせながらシングルカットされています。
シングルカットした時のセールスは、オリコン最高84位、1.6万枚とそれほど振るいませんでしたが、高校時代放送部に所属していた私はこの曲を聴いて、これはまたなんて素晴らしい曲がこの世に生まれたものか……と感動したのでした。私が最初に聴いたのはシングルバージョンで、まだこの時は、すでに4年前にアルバムバージョンが存在していたことを知らなかったのでした(汗)。
曲のストーリーは、おつき合いしていた彼女と一年離れているうちに心が離れてしまったのでしょうか、別れを告げられてしまいます。
「あなた」は九月のことにかかりきりみたいで、もう冗談のひとつも言いません。爪の伸びた小指をかみながら涙とともに言い訳をするばかりです。
ここで、曲を聴いている人には、ひとつの疑問が頭に浮かびます。
九月のこと?
九月に何があるのだろう?
私が想像したのは「結婚式」でした。「ぼく」が一年離れているうちに心変わりをし、別の男性を愛して「ぼく」に別れを告げる。そしてかかりきりになってしまうほど忙しく、また人生における転機になりそうなこと……やはり結婚ではないかなと。
実はもうひとつ頭に浮かんだのは「引っ越し」でした。新たに恋に落ちた別の男性は、彼女から遠く離れた場所に住んでいて、できるだけ側にいたい彼女が下した決断が引っ越し。どちらなのか……でもやはりストーリーとしては、結婚の方がドラマティックだろうなと。当事者の「ぼく」にとっては痛恨の出来事ではありますが、そのくらいドラマティックな曲であって欲しい。
そう考えたのでした。
実際、ふきのとうのお二人、山木さんと細坪さんの作る楽曲には、想いをよせる人が結婚してしまうという歌詞がいくつかあります。
嫁に行く姿見送った
はなればなれ影法師
(ふきのとう『影法師』作詞:山木康世)
貴方が嫁ぐ6月の雨の朝
綺麗な花嫁衣装に身を包み
(ふきのとう『初恋』作詞:細坪基佳)
あと、『Wedding Bell・Holy Night』という曲では、自分が一番好きな男性に向けて、二番目に好きな人と明日結婚する女性の心境を歌っている曲(私個人の解釈です)があります。(作詞:山木康世)
そして同じ別れの歌でも、一年離れているうちに心変わりをして別の人と結婚をする愛しい人に向けて、サビで
あなたが あなただけが
こんなに変わるなんて
(ふきのとう『やさしさとして想い出として』)
と絶叫するドラマティックで切ない幕切れは当時17歳の私の心を捉え、この曲はマイ・ベスト・ふきのとうの曲になったのでした。
曲調は三連のロッカ・バラードのリズムというべきか……ロッカ・バラードの代表的な曲としてはライチャス・ブラザーズの『アンチェインド・メロディー』、映画『ゴースト/ニューヨークの幻』でヒットしたあの曲と同じリズムですね。
イントロは初出’76年のアルバムバージョンではピアノの音色にストリングスが絡み、歌い出しの前からアコースティックギターのアルペジオが入るというフォークの王道的なアレンジが施されています。この巧みなアレンジは瀬尾一三さんによるものでした。4年後の’80年のシングルカット版は若草恵さん(研ナオコ『かもめはかもめ』のアレンジなど)で、やはりピアノとストリングスの構成は一緒なのですが、頭からドラムスやベル?の音色(結婚式をイメージしているのかも)を充てたドラマティックなイントロで、これはやはりシングルリリースを意識したアレンジになっていまして、メリハリが効いたモノが好きな私のお気に入りです。
そしていずれもエンディングでは「Ah……」という男声コーラスが入っていますが、シングル版ではディストーションの効いたエレキギターのソロが入っており、これがまた胸に刺さります。
この他ライブ・バージョンはいくつかのアルバムに収録されていて、’80年にリリースされた『ふきのとうLIVE アンコール やさしさとして想い出として』にも収録されています。ライブならではの臨場感が聴き応えアリです。
そしてなんといっても、先ほども触れましたサビ……このドラマティックなサビの大きな要因は、メロディーが一気に上がるこの落差(昇差?)によると思われます。
あなたが あなただけが
このあなた「が」と次の「あ」なたの2音が、D♯(シ♯)からF(ファ)へと1オクターブ以上上がるというダイナミックなメロディーライン、これは歌っていても聴いていても感情を持っていかれると思います。
この曲に感動した私は、その一年半後に友人たちと開催した卒業記念コンサート(@韮崎市民会館)で、自分の出番の最後にこの曲を気持ちよく熱唱したのでした(恥)。
※この時ピアノ伴奏をしてくれたのは、#1の記事で登場した幼馴染のムトーくん。元気かな?
熱唱といいますと、この曲はあの西城秀樹さんもコンサートで歌っていまして、あのハスキーでパワフル、圧倒的な表現力で細坪さんとはまた違った余韻を残す見事なヴォーカルをライブアルバムで聴くことができます。時々細坪さんもライブでそのことを話題にして、歌真似をしていましたがソックリでした。
(YouTubeで探していただければ見つかるかもしれません)

200曲近くに及ぶふきのとうの楽曲の中で、お気に入りの曲やその時のマイブームは数々あれど、もし誰かに「そうは言っても一番好きな曲は?」と訊かれたら、この曲のタイトルを挙げるだろうな、と思うOJA-Pなのでありました。
【余談】本記事の執筆にあたって情報を収集していましたが、作詞者の山木康世さんご自身が「九月のことは結婚」「九月のことは引っ越し」と仰っていたという両方の説があり、やはりいつかご本人にお会いして訊いてみたいなという思いを強くしたのでした。



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